決算書の作成は、経営者か専門家でなくては関わることがない「特別なこと」です。ちょっとでも間違ってしまえば「追徴」という恐ろしい結果を招いてしまうことにもなりかねません。
今回は初めての決算でも迷うことがないように、決算書作成の最終チェック方法を伝授しましょう。決算書の作成は、地味な計算の連続です。それだけ「正確さ」が重要になってきます。正確な決算書を作成するためにも、心して記事を読んでくださいね。
そもそも経費で落ちるのかを確認しよう!
法人になると、経費として認められる範囲が広くなるので、ついつい経費で落とそうとしがちになります。しかし、あらゆる出費を無制限で経費に出来るわけではありません。個人的な飲食代や旅行費、家族へのプレゼントが経費に出来ないことは当然です。しかし、「経費に出来る基準」と聞かれ、正確に説明できるかと言えば、そうでない人の方が多いのではないでしょうか。
支出を経費に計上するための基準とは?!
先ほどは、「個人的な旅行は経費に出来ない」と書きましたが、これが「事業の視察が目的の旅行」であれば、経費として認められます。
- 事業との関連性を説明できる出費であり、その証拠がそろっている
- 常識の範囲内の金額であり、一般常識に比べて妥当な支出である
- 良心に照らして、やましい所が無い支出である
経費に計上することが出来る条件は、以上の3つです。「金額」や「やましい所」の判断は難しいかもしれませんが、「証拠がそろっている」ということは判断できるのではないでしょうか。
仮に「会食での飲食代」であれば、領収書の裏に「会食相手の氏名」や「どのような目的の会合であったか」などを書き込むことが、有力な対策になります。
逆に言えば、詳細を書き込めない領収書、特に金額が大きいモノについては、経費として認められない可能性が高くなります。場合によっては、経費として計上しない方がいいかもしれません。
残高試算表を作り、科目ごとの数字を全てチェックしよう!!
前述しましたが、決算書の作成は数字が正しいかどうかの確認が重要です。確認しなければいけない「勘定科目」は多岐にわたるため、チェック漏れが無いように余すことなく打ち出さなくてはいけません。
この作業の時に大活躍するのが「残高試算書」です。これは「合計残高試算表」のことで、勘定の貸方と借方の合計が集計されている一覧表のことになり、会計ソフトを使っていれば、決算作成後に簡単に印刷することが出来ます。
残高試算表が、総勘定元帳から正しく転記されていれば、借方合計と貸方合計は必ず一致するはずです。合計金額に相違がある場合、入力した数値が間違っている可能性が高いということになります。
棚卸の作業・家事消費分(領収書が落ちるかどうか)の整理や、未払金や前払金・減価償却の処理・引当金の計上や繰り越し資産の処理など、たくさんの数字と格闘してきた作った決算書でも、入力ミスや計算ミスがあれば、正しい決算書になりません。税務署に目を付けられる原因になります。
今までの苦労を水の泡にしないためにも、残高試算表はきちんと作りましょう。
残高試算表の数字をチェックするときの注意点とは?!
残高試算表のチェックは、勘定科目の数字が間違っていないかを中心にチェックを行います。
- 賃借対照表で、預金と現金の残高に相違が無いか
- 棚卸の金額は一致しているか
- 売掛金と買掛金の残高に間違いがないか
- 減価償却資産の残高と固定資産台帳の未償却残高の金額に相違が無いか
- 借入金の残高は間違っていないか
などの間違いが多く見られるので、注意して確認することが重要です。当然税務署もチェックしてくる項目になります。落ち度が無いように気を付けましょう。
加えて、損益計算書の勘定科目もチェックが必要です。特に家事消費分で計上された金額が正しいものか注意して確認しましょう。また、棚卸も間違えやすい金額項目なので忘れないようにお願いします。間違っていたら、もちろん正しい数字に変更してくださいね。
最後に減価償却費の計算は正しくされているか、家事按分が未処理のままになっていないかも確認し、所得が赤字になっていなければ、決算書の作成の最終段階に入ります。ここまでチェックがきちんとされていれば、あとは会計ソフトやクラウドサービスがやってくれますので、心配はいりません。
まとめ|残高試算表を作り、地道に数字を確認するのが一番近道!
どうでしたか。決算書を作成する際の最終チェックの方法が解ったと思います。決算書の作成は、細かい作業も多く、決して楽なものではありません。しかし、手を抜いて間違ったものを作ってしまえば、最悪の場合「追徴」という結果につながることになってしまいます。
領収書の詳細を記入し、残高試算表を作り、一つひとつシッカリ確認していくという地道な作業が、正しい決算書を作るための近道です。手痛いしっぺ返しを食らわないように、手を抜かずきちんとチェックしていきましょう。
- 今回のポイント
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- 正しい決算書の作り方の基本は「正確さ」に尽きる
- 経費として認められるものかをチェックし、認められそうにないものは外しておく
- 経費として計上するために、領収書には出来る限り詳細を記入しておく
- 決算書のチェックは「残高試算表」を使って、数字が全て一致しているか確認する
- 賃借対照表、棚卸、売掛と買掛、減価償却残高、固定資産台帳、借入金の数字は間違いが多いので念入りにチェック
- 損益計算書の勘定科目の確認も忘れない
- 数字を地道に確認していくことが、正しい決算書を作る一番の近道である
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(編集:創業手帳編集部)