相続税の更正の請求|期限、報酬、請求書と次葉の書き方と記載例
納付した相続税について更正の請求をする場合、いつまでにしなければならないのでしょうか?
税理士に依頼した方がよいのでしょうか?依頼する場合、報酬はいくらくらいかかるのでしょうか?
自分で請求する場合は、どのように手続すればよいのでしょうか?請求書や添付書類には、どのように記載すればよいのでしょうか?
この記事では相続税の更正の請求についてご説明します。
更正の請求とは?
更正の請求とは、既に行った申告について、税額等が過大であった場合に減額更正を求めることをいいます。
減額更正が認められると過大に納付した税額が還付されます。
相続税の更正の請求ができる場合
更正の請求ができるケースは、税額の計算方法や計算に誤りがあった場合と、後発的理由(特別な事情)がある場合に大別されます。
相続税特有の後発的理由には、次のようなケースがあります。
- 未分割だった財産が分割された、分割されたことによって特例が適用できるようになった
- 認知(親子関係を認めること。死後でもできる)や推定相続人の廃除、それらの取消し等によって相続人に異動があった
- 遺留分侵害額を弁済した
- 遺言書が見つかった
期限
更正の請求の期限は、更正の請求の理由に応じて、下の表のようになっています。
理由 | 期限 |
---|---|
計算方法や計算の誤り | 申告期限の翌日から5年 |
相続特有の後発的自由 | 事由が生じたことを知った日の翌日から4か月 |
還付までの流れ
更正の請求から還付までの流れは、通常、次のようになります。
- 更正の請求書及び添付書類を、当初申告した税務署に提出
- 税務署による審査(電話や面談で聴取がある場合もある)
- 「相続税の更正通知書」が書留で届く(認められなかった場合は「更正すべき理由がない旨の通知」が届く)
- 還付金が振り込まれる
更正の請求書を提出してから還付金が振り込まれるまでの期間は一様ではありませんが、平均すると半年ぐらいです。
税理士報酬
更正の請求は自分でやることもできますが、税理士に依頼することをお勧めします。
税理士に依頼することで手続きや書類作成の手間を省くことができます。
また、一般の方が自分で作成すると計算の誤りや書類の不備が生じることが往々にしてあります。そうすると、請求が認められない可能性が生じてしまいますし、本当はもっと還付金を受けられたのに計算の誤りによって少額しか還付されなかったということも生じえるでしょう。
当初申告を税理士に依頼した場合は、更正の請求手続きについても、その税理士に依頼した方が、面倒がありませんし、報酬が安く済むでしょう。
ただし、更正の請求の理由の一端が税理士にあるような場合(例えば、遺産の評価を誤った場合等)は、相続税に精通した別の税理士に依頼した方がよいでしょう。
専門家報酬として一例を挙げると、ある税理士法人では成功報酬として、還付額(税金・加算税)×20%(税別)+郵送費・交通費等実費、としています(着手金等はなし)。
具体的な報酬については個々の税理士に相談してみましょう。
手続き方法(自分でやる場合)
税理士に依頼する場合は、書類の作成から手続きまで、すべて税理士が行うため、依頼者が手続き方法の詳細を把握する必要はありません。
自分で手続きする場合は、この項目を参考にしてください。更正の請求は、相続税申告をした税務署に、次の書類を提出して行います(窓口でも郵送でも構いません)。
必要書類
- 更正の請求書
- 次葉(「申告に係る課税価格、税額等及び更正の請求による課税価格、税額等(相続税)」等)
- 更正の請求の理由の基礎となる事実を証明する書類等
- マイナンバーカード(または通知カード及び顔写真付き本人確認書類)
- 修正申告書(必須ではないが、通常、明細書代わりとして提出する)
以下、それぞれについて説明します。
更正の請求書
更正の請求書の様式は、国税庁のホームページからダウンロードできます(税務署で用紙をもらうこともできます)。
様式が変更になる可能性もあるので、上記国税庁ウェブサイトの最新の様式を確認してください。
更正の請求書の記載例を以下に示します。
次葉
更正の請求書の「2.申告又は通知に係る課税標準、税額及び更正後の課税標準、税額等」欄には、元々「次葉のとおり」と記載されています。
「次葉」とは、「次の紙」という意味で、つまり別紙です。
国税庁ウェブサイト「[手続名]相続税及び贈与税の更正の請求手続」ページの「[申請書様式・記載要領]」の項目に「申告又は通知に係る課税標準、税額及び更正後の課税標準、税額等(相続税)」というテキストリンクをクリックすると、PDFファイルを開くことができるので、ダウンロードして使用してください。
各付表については、該当する場合のみ記載して提出してください。
更正の請求の理由の基礎となる事実を証明する書類等
必要となる「更正の請求の理由の基礎となる事実を証明する書類等」は、更正の請求の理由に応じて下の表のように異なります。
更正の請求の理由の例 | 必要となる書類 |
---|---|
遺産分割協議がまとまった | 遺産分割協議書 |
遺産分割調停がまとまった | 調停調書 |
遺産分割審判が確定した | 審判書 |
裁判によって相続人や遺産の範囲が確定した | 判決書 |
遺言書が見つかった | 遺言書 |
マイナンバーカード
マイナンバーカードもしくは、顔写真付きの本人確認書類(運転免許証やパスポート等)が必要です。
窓口で手続きする場合は提示で構いません。郵送で手続きする場合はコピーを同封します。
修正申告書
修正申告書は必須ではないのですが、税額の計算明細書として有意義なので、通常、修正申告書に明細を記載して添付します。参考資料なので署名捺印は必要ありません。
不明な点は税務署に相談
相続税申告書の作成についてわからないことがある場合は、税務署に相談するとよいでしょう。
全国の税務署の相談窓口は、国税庁ウェブサイトの「税についての相談窓口」のページから探すことができます。
なお、相続税は被相続人の住所地を所轄する税務署に申告するので、電話で相談する場合は、申告先の税務署に相談するとよいでしょう。
訪問する場合はお近くの税務署で構いません。
まとめ
以上、相続税の更正の請求について説明しました。
更正の請求は自分でやることもできますが、税理士に依頼することをお勧めします。e税理士では相続に強い税理士をご紹介しています。ぜひ、お問い合わせください。
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この記事を書いた人
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