納税方法としては、白色申告と青色申告があります。
日本では納税者自身が税金の計算をして確定した税金を納める方式の申告納税方式が採用されていますが、多くの企業は税金を申告する際に青色申告を採用しています。
なぜなら青色申告の方が節税になるからです。
ただし青色申告にするためには一定水準の正確な記帳をしなければならないなどのルールがあります。
今回は節税面から見た青色申告についてご紹介させていただきます。
会計帳簿の重要性
売り上げに直結しない会計帳簿に記帳する作業はとても面倒なわりに、記帳にはそれなりの専門知識が必要という印象をお持ちの方も多いかもしれません。
それでも起業したからには、事業を継続する限り正確な記帳を心がける必要があります。
なぜなら経理作業は経営管理に直結し、正確な経営状況を把握、管理するためにも必要かつ重要な作業だからです。
経営に関しての目標設定や業績確認のためには、会系上の正確な数字が求められます。
毎日の会計帳簿をしっかりと記録することで、業務での支出あるいは事業での収益、さらには事業を継続するための資産や純資産の状況や、借入状況などを瞬時に把握できるようになります。
また財務諸表の提出が迅速にできれば、信頼感もでてきます。これは会社を安定して成長させていくためにとても重要な作業なのです。
青色申告の必要性
前述のように多くの企業は青色申告を行っています。
青色申告というのはひとことで例えるなら毎日の取引を記録した帳簿書類を企業に保存させる代わりに、法人税について有利な特典を受けられる制度です。
ざっくり言ってしまえば白色申告はどんぶり勘定での申告、青色申告は几帳面に申告する代わりに税金を優遇してもらえる制度となっています。
強いていえば正確に帳簿をつけなければいけないのが青色申告のデメリットと言えなくもないですが、それでは企業の成長は見込めなくなってしまうため、実際には白色申告に比べてデメリットが何もない制度です。
そのため多くの企業が青色申告にしているのです。
青色申告の税務特典
青色申告の適用を受けるには、所轄の税務署長に申請して承認を受ける必要があります。
青色申告承認申請書の提出期限は
- 個人の場合は適用を受けたい年の3月15日まで、新規開業の場合は開業後2カ月以内
- 法人の場合は適用を受けたい年度の事業年度開始の日の前日、設立事業年度の場合は設立後3カ月または設立事業年度終了の日のいずれか早い日
となります。
青色申告をすることで、例えば欠損金を翌年以降に繰り越したり、または会社が設備投資や人材投資を行ったりした場合、法人税に対して一定額を控除するといった特別控除などを受けられます。
では具体的に青色申告の特典を見ていきましょう。
青色申告特別控除(個人事業主)
要件を満たして記帳していれば、10万円又は65万円を課税対象の利益から引くことができます。
65万円を引くためには、記帳に基づいた貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付し、その確定申告書を提出期限(3月15日)までに提出する必要があります。
青色事業専従者給与(個人事業主)
要件を満たせば事業を手伝っている配偶者などの親族に対する給与が経費として認められる制度です。
欠損金の損失繰越し(個人事業主・法人共通)
事業が赤字になってしまった場合、個人の場合は3年間、法人の場合は9年間その赤字を繰り越すことができる制度です。
さらに翌年以降に黒字化した場合は、それを相殺することができます。
赤字は税務上課税されませんが、翌年以降に赤字分を繰り越して翌年以降の黒字分と相殺できるかできないかで、翌年以降の税負担が大きく変わります。
欠損金の損失繰戻し(個人事業主・法人共通)
逆に前年の黒字と相殺して前年に収めた税金を返してもらう制度もあります。
当然、前年が黒字であることが必要ですが、キャッシュが戻ってくるので制度適用を検討してみましょう。
少額減価償却資産の経費処理(個人事業主・法人共通)
減価償却で法人税を節税の記事でもご説明させていただきましたが、個人事業主と資本金1億円以下の法人限定で単価30万円未満のものについては購入時の経費として計上できる制度です。
年間300万円に達するまでの制約はありますが、減価償却をほとんど気にせず、「購入した資産 ≒ 経費」することができるようになるため、減価償却の処理もほとんど必要なく会計記帳の手間も省けます。
青色申告で帳簿を記帳することで得られるメリットは節税面だけでなく副次的に金融機関からの要請や、税務調査に対してもきちんと対応できるという恩恵も受けられます。
正しい帳簿をつける青色申告にすることで多くの税制面の優遇が受けられるようになることは事業を継続していくにあたって大きなメリットです。
創業したてのベンチャー企業は、青色申告によって得られる優遇制度をぜひ活用しましょう。