会社を設立する際に無視できないことの1つに「社会保険」があります。もちろん誰も雇わずに1人で事業をする場合には考える必要はありません。しかし5人以上の従業員を雇用する場合には、個人事業主であっても原則的には「社会保険の加入義務」が生まれます。

では、「社会保険」のことを皆さんはどこまで知っているでしょうか。会計士や税理士に丸投げすることも出来るので、詳細を知っている必要はありません。しかし社会保険料の負担は、皆さんが思っている以上に大きな金額になる可能性もあるのです。今回は今後の事業運営のキャッシュフローを計画する参考のために、社会保険の基礎知識を紹介していきます。

社会保険加入のメリットとデメリットを理解しておけば、今後の事業計画にも活かしていけるかもしれません。今さら人には聞き難い内容かもしれませんので、この機会にきちんと把握しておいてください。

そもそも社会保険とは何か|詳細を知ろう!

社会保険とは、「健康保険」「年金保険」「雇用保険」「労災保険」の4つから成り立っています。会社を設立した場合、原則的に従業員に加入義務生まれてくる保険です。ただし、その加入要件は区分によって異なってくるので、簡単に下記にまとめてみました。

  1. 健康保険・・・健康保険法に基づき、主に民間企業に適応される公的医療保険になります。社員は原則的に加入しなくてはいけません。また、パート雇用の場合にも「常用的な雇用」になる場合は加入義務が生まれます。
  2. 年金保険・・・厚生年金保険法に基づき、民間企業の労働者が加入する公的年金制度です。健康保険と同様に、社員は原則的に加入しなくてはいけません。また、パート雇用の場合にも「常用的な雇用」になる場合は加入義務が生まれます。
  3. 雇用保険・・・雇用保険法に基づき、労働者の生活や雇用安定を目的に「国」が主体で運営する保険になります。社員には加入義務が生じますが、代表者は加入することが出来ません。
  4. 労災保険・・・労働者災害補償保険法に基づき、運営する保険です。従業員を雇用した場合、必ず加入しなくてはいけません。

常用的な雇用とは|社員以外の雇用の場合の加入条件

上記を見てもらえば、社員として雇用した場合には全て加入義務が生じることがわかると思います。ただ、「常用的な雇用」という言葉が数回出てきますが、これはどういった雇用になるのでしょうか。これは以下の2つの条件を満たす必要があります。

  • 「31日以上」引き続いて雇用される見込みがある場合
  • 1週間の所定労働時間が20時間を超える場合

これは、雇用当初には条件を満たさなかったとしても、その後に条件が満たされる見込みになった場合にも「常用的な雇用」とみなされます。現在パートタイム雇用や短期の雇用をしている従業員がいる場合には、一度見直しをして方がいいかもしれませんね。

社会保険に加入した場合どのくらいの費用がかかるのか?

では、実際に社会保険に加入した場合に、会社がどのくらいの費用を負担しなければいけないのでしょうか。これは、業種や従業員の年齢によって大きく異なってきます。実際に加入する場合には専門家に相談した方がいいでしょう。

今回は「サービス業を運営する企業が、39歳以下の従業員を月収30万円で雇用する場合」について紹介していきます。

社員負担と会社負担の保険料率を明確化し実際に計算してみよう

計算するにあたって、保険料率を知っておくことが重要になってきます。わかりやすく表にまとめてみましたので、参考にしてみて下さい。

社員負担分

会社負担分

合計

健康保険分

4.985%

4.985%

9.970%

厚生年金保険分

8.560%

8.560%

17.120%

雇用保険分

0.500%

0.850%

1.350%

労災保険分

無し

0.300%

0.300%

合計

14.045%

14.695%

28.74%

では、これを「サービス業を運営する企業が、39歳以下の従業員を月収30万円で雇用する場合」に当てはめてみましょう。

会社負担分が「14.695%」なので
30万円 × 0.14695 = 44,085円

これを1年分支払うとして試算すると
44,085円 ×12ヶ月 = 52万9020円

これは1人の社員を雇用する場合には、給与以外に1年で約53万円の保険料を負担する必要が出てくるということになります。これだけ大きな金額が出ていくのですから、キャッシュフローに与える影響は甚大です。雇用の際には必ず頭に入れるようにしておく必要があります。

社会保険に加入するメリットとデメリット

ではこれだけキャッシュフローに影響する「社会保険」に加入するメリットはあるのでしょうか。一見すると会社の負担ばかり増えるため、会社側にメリットが無いように見えます。ただ原則的に社会保険は、加入要件を満たす場合には加入しなくてはいけません。そこで、社会保険に加入した場合の「会社側のメリット」を考えてみましょう。

きちんと社会保険加入に加入しておけば「優秀な人材」を採用するきっかけになる

社会保険に加入することは、採用の時に大きな力を発揮します。厚生年金の方が国民年金よりも年金支給額が大きくなるため、求職者は社会保険に加入してくれるかを判断材料の1つに考えるようです。

もちろん、社会保険だけで志望企業を決めるわけではありませんが、2つの企業で迷った時には判断の大きな基準になる場合もあります。事業の発展と安定化に、優秀な人材の確保は必須です。キャッシュフローを見直し、無理のない範囲で雇用しておくことが、事業の成功につながるのではないでしょうか。

まとめ|社会保険をきちんと理解し雇用計画を立てることが重要

どうでしたか。社会保険に加入した際の会社側の負担額に驚いた人も多いのではないでしょうか。正直な話、現状では社会保険に加入していない企業もたくさん存在しています。

しかし、事業拡大・安定化させていくためには、優秀な人材の確保が必須です。きちんと社会保険に加入しているということは、社会的な信用を得ることにも影響してきます。どのタイミングで雇用拡大し社会保険を導入するのか、キャッシュフローを見直しシッカリと計画を立て直してみて下さいね。

今回のポイント
  • 個人事業主であっても、5人以上雇用する場合は「社会保険加入義務」が生まれる
  • 社会保険に、健康保険・年金保険・雇用保険・労災保険の4つに区分され、加入要件が異なる
  • 「常用的な雇用」の場合は、パートタイムでも社会保険加入義務が生じる
  • 社会保険料の会社負担額は約15%で、1人社員を雇用すると1年を通じて約53万のキャッシュが必要になる(業種や従業員の年齢により異なる)
  • 社会保険料の負担は会社にとって大きなものだが、優秀な人材を雇用する場合に必要になってくる場合もあるので、導入時期を見極めることが重要

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(編集:創業手帳編集部)