2017年に地方法人特別税が廃止されることになっていますが、ご存知でしょうか。税金のことは全て担当部署に任せているという方や、法人化して間もなく経理に明るくない経営者にとっては寝耳に水のお話かもしれません。税制の廃止と聞くと大事に感じてしまいますが、実は会計上に大きな影響があるわけではないのです。

しかし申告書作成作業においては大きな変化があるため、担当部署の中でちょっとした不安を感じている人もいるのではないでしょうか。今回は、地方法人特別税廃止でどのような変化が起こるのか知っておきましょう。

地方法人特別税とは|なぜ導入されてなぜ廃止されるのか

地方法人特別税が導入される前は、都道府県ごとの税収の偏りが非常に大きく、是正する必要があると言われていました。そこで法人事業税の一部を国税として徴収し、各都道府県へ再分配することで地方ごとの偏在性を無くしていくための暫定措置として創生されたのです。

あくまでも暫定的措置であることや、地方税収の偏在性を是正するためには他の根本的な対策が必要であること等の理由から、地方特別税は廃止されることになりました。廃止と言っても徴収されていたものが無くなってしまうわけではなく、導入前のように法人事業税に復元されることになります。

廃止によって変化すること|変化しないこと

では会社側の目線から見た際、地方特別法人税が廃止されることでどのような変化がもたらされるのでしょうか。前述したように、廃止される地方特別法人税は、法人事業税として復元しても問題ないと考えられており、会計上での大きな差異は生まれないのではないかという予想が主流になっています。

詳しく言うと、地方法人特別税は「法人税法第38条」に規定される法人税額等の損金不算入項目には該当せず、法人税法基本通達9-5-2に規定されている通り事業税と同様の損金経理を行うことが可能であることから、会計上は法人事業税とほぼ同等に扱うことができるということだそうです。

また今まで地方法人特別税は法人事業税と同じ納付書のなかで申告納税を行ってきました。そのため、今後は地方法人特別税の欄が廃止され法人事業税の枠だけになり、地方法人特別税と法人事業税の合算分を法人事業税の欄に記入するだけだと考えられているため、納付の際にも会計上の変化はないようです。

申告するうえで予想される注意点

「会計上の変化はない」ということが分かってもらえたのではないでしょうか。では、その他の部分で影響する部分がないのでしょうか。現段階で確定したわけではないのですが、申告書を作成するうえでいくつか影響する部分があるのではないかという予想が一般的なようです。

この記事を執筆している段階(2016年6月)では申告書の様式が決定していません。2017年4月以降開始の制度なので、様式がはっきりするにはもう少し月日が必要かと思います。今の段階ではあくまでも予想と言う形にはなってしまいますが、影響を及ぼすであろう部分について説明していきましょう。

第六号様式

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地方法人特別税が廃止されるため、当然のことながら用紙下段にある地方法人特別税の欄が無くなっていくと考えられています。

現在は図のように用紙の下半分が地方法人特別税の欄になっています。今後何かの計算欄になっていく可能性も否定できませんが、現状は全て廃止という考えが主流のようです。手間としては省けるのかもしれません。

第六号様式別表十四

現在、地方法人特別税の税額計算基礎となる課税標準は「所得割額を標準税率で計算した基準法人所得割額」です。超過税率を適用している東京、愛知、大阪などの都道府県では基準法人所得割額を計算するために、この第六号様式別表十四を参照する必要があります。

しかし地方法人特別税廃止に伴い、第六号様式別表十四が廃止される流れになっているようです。超過税率が適用されている都道府県にとっては作成の手間が省ける反面、別の作業や計算が必要になってくる可能性も否定はできません。

法人税申告書別表五(二)「租税公課の納付状況に関する明細書」

利益積立金額の計算上控除するために、法人税等の税額の発生や納付の状況、納税充当金の積 立てなどの状況を明らかにするために使用している「租税公課の納付状況に関する明細書」があります。その明細書にある「地方法人特別税」の枠がなくなり法人事業税にのみの金額を表記する形に変更されることが予想されます。

今までは2項目の計算が必要でしたが、1項目の計算のみになるため、申告作業の簡略化をすることが可能になるのではないでしょうか。ただし、このことについても決定事項ではなく他の計算が必要になってくる場合もないわけではありません。

まとめ|未定な部分も多いため楽観はできないが手間は軽減するかも?

どうでしたか。地方法人特別税のことや廃止されることによっての変化がわかったでしょうか。実際に廃止される時期が2017年4月以降と言うこともあり、申告書の様式などがはっきりしていません。あくまでも予想になってしまいますが、専門家の目から見ても会計上の変化はほとんどなく、申告の際の手間もある意味軽減される場合が多いようです。

廃止されるまで動向を注視していきながら、担当部署への気遣いと申請の見落としないかの確認をしていくことで、潤滑な会社運営を保っていけるのではないでしょうか。

今回のポイント
  • 地方法人特別税とは法人事業税の一部を国税として徴収したもので暫定的な処置である
  • 実際に廃止される(申告に関係してくる)時期は2017年4月以降
  • 廃止されても会計上の変化はあまりない(廃止されたものは法人事業税に復元)
  • 申告の際も廃止されると考えられているものが多く、手間が省けると予測される
  • ただし決定事項ではないので、今後の動向を注視し担当部署への声かけを忘れない

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(編集:創業手帳編集部)