儲かった翌年こそ注意すべき税金と納税期限
個人事業主などは毎年3月15日までに、前年の所得に対してかかる所得税を計算して税務署に確定申告しなければなりません。
1年分の領収書をこの時期にイヤイヤ整理して確定申告を済ませて一安心という方も多いと思います。しかし実はこれで1年の税金イベントが完了するわけではありません。
確定申告書は直接提出した税務署の先にまで届いていて、時間差で個人住民税や個人事業税など所得税以外の税金の納付書が届くことになります。
この時間差の通知についての理解が浅いと痛い目を見ることになってしまいます。
これらの納税義務をきちんと果たせなかった場合は後々に資金練りで困った時に銀行の融資も受けられないといった申告な事態にまで陥ってしまう可能性があります。
転ばぬ先の杖。今回は、その確定申告の先にある「個人住民税」「個人事業税」について、整理しましょう。
個人住民税を知る
個人住民税は、税務署から地方公共団体に送られた確定申告書に記載されている所得の記載をもとに計算が行われます。
個人住民税にも、社会保険料控除、配偶者控除などの各種控除がありますが、これらの各種控除は、控除金額の違いを除いては所得税の所得控除・税額控除とほぼ同じ仕組みになっています。
ただし
税率
所得税の税率は各々の所得が増えるに応じて応じて税率が高くなりますが、個人住民税の税率は都道府県民税と市区町村民税を合わせて、
均等割
住民が全員同じ額を負担する税金(非課税者を除く)で、たとえば東京都では2015年12月現在で都民税額(1,500円)+区市町村民税額(3,500円)合わせて年間5,000円になっています。
確定申告ソフトのなかには個人住民税額まで計算できるものもありますので、自分で個人住民税の概算を試算することもできます。
ただし個人住民税額の計算機能がない場合は上記のように控除額の計算が違いますので、大まかな計算をしてしまうと思いもよらない金額の納税通知書が来てしまいますので注意してください。
個人事業税を知る
個人事業税は個人が事業を行っている場合に課される税金のため、会社員などには課されない税金です。
確定申告の情報を元に計算されますが事業主控除という290万円の控除があります。
収入から経費等を引いた所得が290万円を超えない限りは個人事業税が発生しないことになるとても大きな控除です。
また個人事業税で注意しなければならないのが個人事業税には青色申告特別控除がないという点です。
そのため所得税で青色申告特別控除を受けていた場合は、個人事業税の計算では所得が高くなります。
税率は業種によって3%~5%と違いがありますが、一部の課税されない業種を除いてほとんどの事業が課税対象になります。
- 税率3%
- あんま・マッサージ・指圧・はり・きゅう・柔道整復・その他の医業に類する事業、装蹄師業)
- 税率4%
- 畜産業、水産業、薪炭製造業)
- 税率5%
- それ以外の課税対象業種
確定申告後の各種納税期限までに資金繰り対策を!
2〜3月の確定申告が所得税のみならず、個人住民税と個人事業税の計算の元になっていることがご理解いただけたかと思います。
納付時期をまとめると以下になります。
(1)所得税
原則3月15日(申告期限)までに納付(振替納税を利用している場合は4月)。
前年の年間所得税額が15万円を超える場合には、7月末、11月末の納付期限までに予定納税が必要になことがあります。
(2)個人住民税
納付期限は6月末、8月末、10月末、翌年の1月末の年4回(普通徴収の場合)。
毎年6月頃に納税通知書と納付書が届きます。
(3)個人事業税
納付期限は原則として8月末、11月末の年2回。
こちらは8月頃に納税通知書と、納付書が届きます。
- 3月
- 所得税
- 4月
- なし
- 5月
- なし
- 6月
- 住民税
- 7月
- 所得税(予定納税)
- 8月
- 住民税・事業税
- 9月
- なし
- 10月
- 住民税
- 11月
- 所得税(予定納税)・事業税
- 12月
- なし
- 1月
- 住民税
- 2月
- なし
個人事業主の場合は国民健康保険料を支払っているケースも多いかと思いますが、国民健康保険料も確定申告に関係しています。
会社は利益を上げることが至上命題ですから、儲かる年は来るでしょう。
しかし儲けたからといって深く考えずに設備投資やボーナス支給などに使ってしまうと翌年時間差でやってくる税金に対応できなくなってしまいます。
確定申告、つまり儲けの申告が翌年のどの税金に影響を与えるのかしっかり理解して、それを見越して納税資金の準備をしっかりとしておかなければいけません。