【2021年度税制改正大綱】教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置見直し|孫への生前贈与は課税強化の前に
2021年度の税制改正大綱で、「教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」の見直しがおこなわれ、2020年12月21 日に閣議決定されました。適用期限を延長する一方で、節税目的での利用を防止する観点から変更されることもあります。
この記事では、2021年度の税制改正で「教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」がどのように見直されるか、その内容についてご説明します。
適用期限の延長と制度見直し
「教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置」については、適用期限が2021年3月末に迫っていましたが、2021年度の税制改正大綱により2年間延長されました。
その一方、今まで税金がかからなかった部分が相続税の課税対象となる見直しも行われています。
孫などへの一括贈与が、相続税の節税的な利用につながっているとの指摘を受けて見直しに至ったものです。 また、「結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置」については、次の適用期限到来時に、制度の廃止も含めて改めて検討されることになりました。
この「一括贈与の非課税措置」については、2019年度にも見直しがありましたが、今回はさらに課税が強化されました。改正内容は以下の通りです。
翌年度以降の税制改正をまとめたもの。与党の税制調査会が各省庁や業界団体の要望を踏まえ議論し、12月に閣議決定されます。2021年度の税制改正大綱は2020年12月21日に閣議決定されました。この大綱に沿って、国税については財務省が、地方税については総務省が改正法案をつくり、国会に提出されます。
教育資金の一括贈与の非課税措置
贈与者死亡時における贈与資金の残額(教育資金として使い切れていない額)に対する課税について
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
課税対象 | 贈与者死亡前3年以内にこの制度を利用して贈与された資金の残額 | 死亡の日までに年数にかかわらず、この制度を利用して贈与された全資金の残額 |
受贈者が孫などの場合 | 2割加算の対象外 | 2割加算の対象 |
改正は2021年4月1日以後の贈与等により取得した資金に適用されます。なお、贈与者の死亡日において受贈者が以下のいずれかに該当する場合は除きます(改正前と同じ)。
- 23歳未満である場合
- 学校等に在学している場合
- 教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合
結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置
「結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置」については、2年間の期限延長後、廃止も視野に入れて検討されます。
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
課税対象 | 贈与者死亡時における贈与資金の残額(結婚・子育て資金として使い切れていない額) | |
受贈者が孫などの場合 | 2割加算の対象外 | 2割加算の対象 |
受贈者の適用年齢 | 20歳以上50歳未満 | 18歳以上50歳未満 |
2割加算の対象となるのは2021年4月1日以後、適用年齢の引き下げは2022年4月1日以後の贈与等により取得した資金です。
まとめ
今回、「教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与の非課税措置」の見直しに至った背景には、この措置が節税対策に使われ過ぎているという指摘があったようです。贈与を考えている方にとっては、贈与のタイミングや金額、贈与した財産の用途を改めて考える必要があります。
今後の国会審議等により内容が変更される可能性はありますが、お孫さんへの教育資金として贈与を検討している方は課税強化前の現行制度が適用される、2021年3月末までに急いで手続きした方が良いかもしれません。
また、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなどの検討も進められるようです。生前贈与・相続税対策を検討されている方は今後の動向にも注視していく必要がありそうです。
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この記事を書いた人
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