ご存知の事業者も多いと思いますが、平成26年からは白色申告の場合も含め、全ての事業所得者に記帳義務が発生するようになりました。つまり、年末に賃借対照表と損益計算書を作成可能な正規の簿記=複式簿記による記帳が必要になったということになります。
もちろん税務申告でも記帳は必要です。また月次・年末までの経営成績、財政状況を把握するためにも、正確な記帳が出来るかどうかが重要になってきます。
今回は、いまや使うことが常識になっている「会計ソフト」を使って帳簿を付ける際の注意点をまとめてみました。あまり帳簿をつけることに慣れていない人のために、伝票は作成せず原始帳票より帳簿を付ける「出納帳形式」の方法を紹介します。今後間違いなく必要になって来る情報なので、参考にしてください。
会計ソフトにはどんなものがあるのか?!
まず初めに、会計ソフトにはどんなものがあるのかを簡単に紹介しておきましょう。
- 弥生会計
- Crew
- freee
- MFクラウド
等が、一般的に普及している会計ソフトではないでしょうか。他にも色々とありますが、上記のものは非常に使いやすく、使用している企業が多いため、情報の共有もしやすいという利点があります。
また、以前はソフトを購入し、一台一台ダウンロードをしていかなくてはいけませんでしたが、現在はクラウド形式のソフトがほとんど。新規導入も楽になりました。
現金取引を記帳するときのコツ
現金入金、支払を現金出納帳に入力していくことになりますが、その際
- 現金入金→領収書控、通帳(預金からの引き出し分)を整理する
- 現金支払→領収書、振込書(現金での振込のみ)、現金支払いのレシート、通帳(預金への預け入れ分)などを整理する(領収書は分類ごとにまとめておく)
- 預金からダイレクトに振込した振込書、クレジット払いのレシートや領収書は現金取引として記帳しない。
ということに注意しておきましょう。
現金出納帳は、現金商売している事業者にとって非常に重要になってきます。現金の出入りの記録は、出入りごとに記録できるものではありません。日々記帳して帳簿残高と実際の有高が一致しているかをすり合わせることが必要になってきます。
一般的には、現金出納帳を手書きで作成し、手書き作成したものを入力していく事業者が多いようです。この方が間違いは少ないようです。慣れるまでは、併用した方していきましょう。
銀行取引の記帳のコツ
当座照合表、普通預金通帳をもとに、銀行帳(預金出納帳)に入力していきましょう。
入力後は、出し入れの数値・残高が一致しているかデータを確認してください。会計ソフト上では、補助科目として銀行・支店名を入力しておけば、口座別で銀行帳を作成することが可能になります。複数口座を利用している事業者は、最初の登録には手間がかかりますが、その後の管理が楽になるはずです。
よくあるミスに、現金出納帳で入力された「預金‐引き出し預入取引」と銀行帳を重複入力してしまうことがあります。この2つは連動しているので、重複入力しないように気をつけましょう。
売掛取引の記帳のコツ
得意先との取引を「売掛」で行うこともあると思います。その場合は売掛取引として別個記帳をしなくてはいけません。
得意先からの請求書・納品書内容を確認し、掛け取引に入力していきます。入力した後、仕入・値引き返品・支払いなどの取引と残高がデータと合っているかをチェックしましょう。
会計ソフト上で、補助科目として得意先名を登録しておけば、仕入れ先別に売掛帳を作成すること出来るので、上手く活用できると管理が楽になります。
また、現金・預金からの支払データは、現金出納帳と銀行帳と連動しています。重複入力してしまうミスが多いいようなので注意が必要です。
買掛取引の記帳のコツ
付き合いの長い仕入先の場合、買掛取引を行うこともあるはずです。
買掛取引は、売掛取引と同じように仕入先からの請求書・・納品書をもとに掛け取引を入力、その後、仕入・値引き返品・支払いなどが一致しているかデータ確認をします。
他と同様に、補助項目で仕入れ先名を入力しておけば、仕入れ先別に買掛帳を作成できます。また同じようにデータも連動しているので、重複入力には注意して下さい。
その他の注意点
項目ごとでも書きましたが、それぞれのデータは連動しているので、重複入力をしないように十分に気を付けて下さい。入力の際、非常に多いミスになっています。
また、売掛・買掛の取引が無い場合は、入力不要。変な数字を入力しないように気を付けて下さい。
科目ごとに正しく入力出来れば、「仕分日記帳」「総勘定元帳」も自動的に作成されます。
まとめ|入力に慣れてしまえば正確ですばやく帳簿を作成できる
どうでしたか。会計ソフトを使った帳簿付けのコツが解ったと思います。入力箇所のミスや重複入力などのミスさえ無ければ、会計ソフトを使った帳簿の作成はそこまで難しくありません。慣れないうちは手書きと併用することで、このミスは減っていくはず。帳簿作成の手間が省ければ、その分主要なビジネスへ注力することが出来ます。まだ導入していない人は、検討してみて下さい。
- 今回のポイント
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- 平成26年以降、全ての事業所得者に記帳義務が発生するようになった
- 会計ソフトを上手く使うことで、正確で素早く帳簿を作成することができる
- 現金記帳するときは、領収書や通帳取引内容を整理し、現金のやり取りのみ記帳するよう注意する(クレジットでの取引は記帳しない)
- 銀行取引を記帳する場合、現金取引分と重複しないように気を付ける
- 売掛や買掛も各書類を参照しながら入力し、間違いが無いようにチェックする
- 重複入力のミスが非常に多いので、重複がないように細心の注意を払う
(編集:創業手帳編集部)