大手銀行は企業の成長性よりも安全性を重視するため、赤字段階のベンチャー企業には融資しないのが常識でした。
しかし、最近の取り組みでは、起業直後の創業期にある赤字のベンチャー企業にも大手金融機関からの融資による資金調達の可能性が広がってききました。
三井住友銀行が日本政策金融公庫と提携し、起業直後で赤字のベンチャー企業にも融資を行う方針を発表しています。
この取組のポイントは、日本政策金融公庫が出す「資本性劣後ローン(資本性ローン)」と言えます。今回は、資本性劣後ローンを活用した資金調達について紹介します。
そもそも劣後ローンとは?
劣後ローンとは、ほかの一般的な負債より支払い順位が劣るローンのことです。
会社倒産時に債権回収される順番があり、税金や従業員の給与などが優先的に支払われ、その後で劣後ローンによる負債分が金融機関に回収されます。
劣後ローンはこの順位が劣るローンであるため、会社に何かあった場合にはほぼ回収できないローンであると言って良いでしょう。
資本性劣後ローンのメリット
金融機関では審査上、一部金額を借入金(負債)ではなく資本(純資産)の一部として見なしてくれるというメリットがあります。
金融機関は、負債であるが負債ではなく資本として見なしてくれるのです。
また、資本性劣後ローンで資金調達すると「資本(純資産)」となり、自己資本比率が悪化しないどころか、自己資本比率がむしろ改善するため、民間金融機関から追加融資も受けやすくなります。
資本性劣後ローンのデメリット
通常の融資による借入負債の利子よりも一般的に高い利率が設定されていることがデメリットとしてあげられます。
さらに、資本性劣後ローンは、融資する側から見るとリスクが高いため、返済期間も通常の貸付金に比べて長く設定される場合が多いです。
資本性劣後ローンに興味がある場合は、まずは日本政策金融公庫の窓口へ行きましょう。
その際は事業計画書や税務申告書の提出を求められるので、税理士と相談しながら書類の作成をすることをお勧めします。