資金難の創業期を税金の知識を学んで乗り越えよう。

確定申告という言葉を知らない人はいないと思いますが、これは実は「個人の所得税の申告」のことです。法人の税金「法人税」には当てはまりません。このことを知らない人は結構多く、創業したばかりの事業者の中には、知らなかったという人がいてもおかしくありません。

今回は、個人が払う「所得税」と法人が払う「法人税」の違いを説明していきましょう。2つの違いをキチンと理解することは、法人化した方が良いか、個人事業で運営した方が良いか、どのタイミングで法人成りするべきかを見極めるための重要になってきます。今後の参考にしてください。

申告時期すら違う|所得税と法人税は全く違う税金

所得税と法人税は全く違うものです。所得税は個人の所得にかかる税金であり、法人税は会社の利益にかかる税金になります。なんとなくは解っているとは思いますが、今まで会社の経理に携わったことがない事業者は、この部分がピンと来ないようです。

ちなみに確定申告(所得税の申告)は2月16日~3月15日まで、法人税の申告は一般的に事業年度終了から2か月後までになっています。この違いは支払時期に違い生じ、キャッシュフローに影響が出るということです。最初のうちはシックリこない事業者もいるかもしれませんが、まずはこの2つが全く違うものだということを常に頭において会社を運営していきましょう。

節税を考えるときに最も重要|税率の違い

所得税は、5%~45%の超過税率になっています。ちなみに超過税率とは、所得が多いほど税率が高くなる制度です。例を挙げると、195万円以下の課税所得ですと税率は5%、195万円を超える場合は10%に上がります。

反して、法人税は比例税率です。平成28年4月1日以後に開始する事業年度については23.4%、平成30年4月1日以後に開始する事業年度についても23.4%と同率になります。また、中小法人などの一定の法人は、所得金額のうち800万円まで15%の軽減税率が適応になるのです。

つまり、この課税所得の金額によって、法人の方が得か個人の方が得かが変わってくるということ。課税所得の見込みがいくらであるのかをシッカリ見極めることが、法人成りするかどうかの見極めになってくるでしょう。

個人と法人では所得の計算方法が違う

個人の所得は、利子所得・配当所得・事業所得・給与所得・不動産所得・譲渡所得・山林所得・退職所得・一時所得・雑所得の10種に分かれていて、分類された所得ごとに計算方法が変わってきます。

例えば事業所得の場合、収入金額から必要経費を差し引いたものが事業所得になります。個人の場合は、このように各所得ごとに算出したものを合計し、超過累進税率をかけて税金がいくらかを計算するのです。

法人場合は、利益(益金)から損金を差し引いたものが所得になります。もちろん、会計上の数値と法人税法に差が出るので調整は必要になりますが、一般的には売上総額から売上原価と経費を差し引いたものが利益=会社の所得と言うことです。

決算が赤字である場合は税金が異なる

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個人の場合、決算が赤字の場合は所得税がかかりません。対して法人の場合、例え決算が赤字であったとしても最低7万円は税金を納めなくてはいけません。この違いは非常に大きいですね。

小規模の事業であれば、かなり大きな負担になってきます。特に創業期は、赤字で運営をしなくてはいけない場合も出てくるはずです。無理して法人化してしまうと、税金が払えなくなってしまう可能性が大きくなってしまうということになりますので創業しようという人は把握しておきたいポイントです。

個人的事情に配慮した所得控除があるのは個人だけ

個人の場合、個人的事情等を考慮し、課税所得額から所得控除が行われる場合があります。医療費控除という言葉は、皆さんもご存じなのではないでしょうか。医療費控除とは、1年間に一定額を超える医療費を支払っている場合、その一定額を超えた金額について最高200万円まで所得から差し引くことができる制度です。個人の場合、その他にも配偶者控除・基礎控除など、いくつかの「控除」を受けることができます。

法人の場合は、基本的にこのような個人的な「控除」を受けることはできません。

繰越控除の対象になる期間は法人の方がはるかに長い

「青色申告をしている個人」と「法人」は、損失が出た場合に次年度の所得と相殺できる制度があります。いわゆる「繰越控除」と言われる制度です。この繰越控除、法人の場合は9年の損失繰越が認められていますが、個人の場合は3年の損失しか繰り越すことができません。

繰越控除の面から見ると、個人より法人の方が明らかに優遇されているということです。ただし、一定規模の法人については繰越できる額が限られてきます。

まとめ|個人と法人の税の違いを理解し法人成りのタイミングを計ろう!

いかがでしたか。個人の所得税と法人税の違いがわかったでしょうか?所得税と法人税の違い、経費の計上範囲など、個人と法人には経理条件上で大きな違いがあります。どちらが良いとか悪いとかということではなく、長所短所を理解し、自分の状況に応じて、個人か法人かを選ぶべきです。現状を見極め、一番良い選択をしてくださいね。

今回のポイント
  • 個人の所得にかかる「所得税」と、法人の利益にかかる「法人税」は全く違うものである。
  • 所得税と法人税は申告時期が違う→キャッシュフローに影響する
  • 所得税は5%~45%の超過税率、法人税は比例税率である。
  • 法人税には経過税率が適応される場合がある。
  • 赤字運営の場合、個人の場合は税金がかからないが、法人の場合は最低でも7万円の税金がかかる
  • 医療費控除のような、個人的な事情を考慮した控除があるのは個人だけ
  • 繰越控除の対象期間は、個人→3年 法人→9年と法人の方が圧倒的に長い

(編集:創業手帳編集部)