各部門とのコミュニケーションで会社状況を整理しよう。

法人事業概況説明書というものをご存じですか?これは、法人税の申告ときに提出する必要がある書類です。サラリーマンの頃には馴染みのない名前なので、知らなかったとしても恥ずかしくはありません。しかし、今後事業者としてやっていく場合には知らなかったでは済まされないのです。

今回は、法人事業概況説明書の作成方法を説明していきます。書き方のコツさえ知っておけば、そこまで手がかからない書類です。名前が難しいのでちょっと尻込みしていた人も、この記事を読めば理解できるはず。ぜひ今後の参考にしてください。

法人事業概況説明書とは?!

法人事業概況説明書とは、法人税法施行規則35条4項により提出が求められている書類です。法人税や事業内容のような、「確定申告を提出する法人に関する一般的な情報」を記載することにより、税務当局が法人に関する情報を効率的に把握できるようになります。つまり、税務調査に代表される「税務行政の執行」などが円滑に行われるようにするための書類です。

法人事業概況説明書を作成する際に注意すること

法人事業概況説明書は、記載方法のルールを守って記載する必要があります。簡単なルールですが、統一ルールを遵守しなくてはいけないので、しっかりと把握しなくてはいけません。

全体的な留意事項としては

  • 金額の単位は原則として千円単位で記載しなくてはいけない。なお、千円以下は切り捨てにする。
  • ただし例外として、「取引金額欄」は百万円単位、「源泉徴収額欄」は円単位で記載しなくてはいけない。
  • 記載金額がマイナスのときは「-」もしくは「△」を数字の頭に記載する。(▲は使用しない)

が挙げられます。

項目別の注意点を担当者が把握しなくてはいけない

法人事業概況説明書は、経理担当者が作成するケースが多いようです。項目別の注意点を担当者が把握し、正しく対応する必要があります。

項目別の注意事項

1.事業内容

建設業・人材派遣業などの「会社の事業内容」を記載。事業内容の詳細については裏面にある「事業形態欄」に記載するので、ここでは不要です。

2.支店・海外取引状況

支店・営業所、工場などの数・所在地を記載。国内だけでなく、海外のものも記載が必要です。一覧を作成するなど、日頃から正しく把握しておきましょう。

また、海外取引や貿易外取引の有無と取引金額も記載しなくてはいけません。こちらも会計システムを利用するなどして、月次で取引一覧を作成して正しく把握しておきましょう。

3.期末従業員などの状況

常勤役員の人数、従業員の職種別の人数を記載。人事担当者に一覧化してもらえば、把握が楽になるでしょう。

4.電子計算機の利用状況

電子計算機の利用状況を記載。情報システムの担当者に、情報の整理と収集を依頼しましょう。

5.経理の状況

現金や小切手の管理者、試算表の作成頻度、源泉徴収と消費税などについて記載。経理担当者が法人事業概況説明書を作成しない場合は、経理に情報の収集・整理・提供を依頼しましょう。

6.株主又は株式所有移動の有無

自社の株主に移動がある場合、株主間で株式の譲渡がある場合には「有」と記載。これも経理担当者に情報の提供を依頼しましょう。

7.主要科目

主な科目の残高を千円単位で記載。

8.インターネットバンキング等の利用の有無

インターネットバンキング・ファームバンキングを利用している場合は「有」と記載。

9.役員又は役員報酬額の移動の有無

役員もしくは役員報酬額の移動がある場合は「有」と記載。経理担当者・総務・人事担当者などから、情報提供の依頼をしましょう。

10.代表者に対する報酬等の金額

同族会社の場合は記載が必要。千円単位で記載してください。こちらも一覧表を作成することで、把握が楽になります。

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11.事業形態

2種類以上の事業を行っている場合には、主要な事業以外の事業についても具体的に記載しなくてはいけません。事業内容の特異性の欄がありますが、ここには同業他社と比べて自社の事業に特異性がある場合のみ記載が必要です。関連部署とのコミュニ―ケーションを密に行いましょう。

12.主な設備等の状況

事業のために使用している主な設備について記載。製造業・飲食業など、固定資産を比較的多く補修する業種では記載に手間がかかります。日頃から固定資産台帳を作成しておくことで、この手間が簡略化されるので、作成を怠らないようにしましょう。

13.帳簿類の備付状況

帳簿類の備付状況について記載。これも日頃から帳簿を作成・管理することで手間が簡略化されます。

14.税理士の関与状況

税理士の関与状況について記載。ただし顧問税理士が存在している場合は、顧問税理士に確認をとってから記載しなくてはいけません。

15.加入組合等の状況

会社が加入している主な団体等について記載。経理部門だけでは必要な情報を把握することが出来ない場合もあるので、企画部門や総務部門とコミュニケーションをとらなくてはいけません。

16.月別売上高等の状況

月別の売上高、売上原価を記載。その他、源泉徴収税額や人件費についても記載しなくてはいけません。これらの情報は、毎月の月次決算ときにデータを収集しておきましょう。データ収集と関連部署との密なコミュニケーションによって、申告ときの負担が軽くなるはずです。

17.当期の営業成績の概要

経営環境の変化や経営方針の変更によって、会社の業績が大きく影響を受けてしまった場合は、その要因などを具体的に記載しなくてはいけません。

まとめ|日頃から各部門とコミュニケーションをとり情報を整理しよう

いかがでしたか。法人事業概況説明書の作成方法が解ったと思います。法人事業概況説明書は、日頃から各部門と情報を共有し、情報を整理することで容易に作成ができるようになるはずです。また、毎月の記帳を細かく正確に行うことも必要になってきます。日頃から会社の状況を把握できるように、各部門のコミュニケーション方法を見直しましょう。

今回のポイント
  • 法人事業概況説明書とは、法人税の申告ときに提出する必要がある書類である。
  • 法人事業概要説明書の記載方法には、簡単なルールがあるので、きちんと把握しなくてはいけない。
  • 記載項目は17個あり、それぞれ注意点や記載のコツがある。
  • 日頃から各部門のコミュニケーションを密にし、一覧表の作成をするなど情報を整理しておくことで、作成の手間が省ける。

(編集:創業手帳編集部)