安全に開業するために必要な資金

例えば都内で飲食店を開業するなら安全に開業するためには初期投資額の目安として約1000万円が必要といわれています。自己資金については、その3割が必要です。1000万円の3割というと約300万円ですが、それ以下であると飲食店開業後が非常に苦しくなります。
それではなぜそれ以下であると開業後苦しくなってしまうのでしょうか。

なぜ少額の自己資金では開業後に苦しむのか

とりわけ開業時は事業に対するこだわりも強く、妥協点を見つけにくいものです。
そのため食器や調理器具、集客のためのチラシや看板などの出費が予想以上にかかることが多く、少額の自己資金では、初期の投資で融資と自己資金をほとんど使い切ってしまうことになります。
また開業後は客足も不安定になりがちですから収入が不安定になることも想定しておかなければいけません。

そのような状況でも食材や飲料、家賃、融資の返済と利子など支払いは容赦なく襲いかかってきます。そのため創業当初のキャッシュフローが厳しいと、客が定着し軌道に乗る前にキャッシュがショートして廃業に追い込まれてしまう可能性が高くなるのです。

このような状況に陥りやすい方は「自己資金」=「飲食店開業資金」と考えている傾向がありますが、そこに落とし穴があります。

「自己資金-家事資金(※)」=飲食店開業資金
※飲食店を開業してから軌道に乗るまでの間の生活費(経営者の給料含む)

と考えるのが正しい認識です。

開業に必要な金額とは

初期投資額の目安1000万円の内訳を見ていきましょう。
大別すると設備資金と不動産取得費、運転資金に分けられます。

設備資金:内装及び厨房機器(居抜き取得費含む)+食器類のその他消耗品
不動産取得費:前家賃+保証金+礼金+仲介手数料
運転資金:最低2ヶ月から3ヶ月分

地域やお店のコンセプトによっても設備資金、不動産取得費、運転資金は変わっていきますが、この3つの項目を店舗の立地などの諸条件を考慮して、自己資金を貯めるようにします。

飲食店開業融資額は様々な要因によって変わりますので一概に言い切れませんが、およそ600万円から900万円前後を想定しておきましょう。開業に必要な資金を融資ですべて賄うこてはできないのです。そうすると足りない分は自己資金で補填する必要があります。
つまり差額の100万円〜400万円は自己資金を貯めておかなければなりません。

不動産取得費は自己資金で賄わなければならない

初期投資のなかでも不動産取得費は特に大きな割合をしめます。融資を考えている場合は自己資金で不動産取得費(前家賃 保証金 礼金 仲介手数料)が賄えるようにしておかなければなりません。

なぜなら融資実行には原則的には不動産の契約書が必要だからです。つまり不動産取得費は、融資実行前に発生するため、自己資金で賄う必要があるのです。

例外的な事例として、都心などの高額不動産取得費の場合には自己資金で賄えなくても大丈夫なケースがありますが、特殊な事例と考えてください。
経営に挑む心構えとしても不動産取得費くらいは自己資金でカバーできる状態にしておくべきです。

都心部や駅前などの人気の物件の場合「これだ」と思った物件はその場で本契約をしなければ物件が流れてしまうため、その場で本契約をしなければならないこともあります。本契約をすると後からもっと良い物件が見つかったなど、何らかの事情で解約しようとしても、数ヶ月間の家賃が発生しますからそのような有事の際に備えておく必要があります。

そのような事情から事前に開業したい場所の不動産相場や不動産事情を確認して自己資金の貯蓄をするようにすることも大切です。


必要な自己資金がどの程度必要なのか、不安に感じる方は、項目立てて金額を紙に書き出してみましょう。その際に、利子返済などの金額も入れられれば、より正確な情報となります。

中小企業庁から認定支援機関に認定された専門家に相談すれば、融資や物件を抑えるタイミングなどを包括的に計算してプランを一緒に練ってくれますので、活用するのも一つの手です。
また認定支援機関への相談によって保証料減額や補助金の幅が広がるなどの直接的なメリットも享受できます。

認定支援機関の税理士事務所